美健JUMP! Dr.健康相談:冷え症


知っておきたい冷え症の原因と対策

成人女性の約7割が悩まされている冷え症。そのうち9割が「手先・足先など末端が冷える」、「肌・皮膚表面が冷たくなる」

など血行の悪化によるトラブルに悩まされています。1)

しかし冷え症を自覚する人の中には、対処法がわからず放置している人も多いのが現状です。

今回は、多くの女性の悩みである冷え症の原因と対策について紹介します。

1.冷え症の症状と原因


よく耳にする「冷え症」という言葉。“冷え症=体温が低い?”と勘違いしている人も多いですが、そうではありません。冷え症とは、「普通の人が寒さを感じないくらいの温度でも、全身や手足、下半身など体の一部が冷えてつらい症状」とされています。

冷え症は、血行不良熱の産生不足から生じます。私たち人間は、内臓のある体の中心部の温度を常に37℃に保つために、環境の変化に応じて体温を調節しています。暑いときは、手足の末端や皮膚の血管を拡張し、血液中の熱を放散させ、汗をかくことにより外に熱を逃がします。逆に寒いときは、手足の末端や皮膚表面などの血管を収縮させて熱が逃げるのを防ぎ、心臓や肝臓など重要な臓器が集まる体の中心部に血液を集めて、体温を維持しようとします。

そのため血液が行き渡りにくくなった手先や足先は、温度が下がり、冷たくなってしまうのです。2)

冷え症のタイプは、主に以下の4つに分けられます。

【1】四肢末端型

手先や足先が冷える、最も多くみられるタイプです。10~20代のやせ型女性に多く、冷えと同時に頭痛や肩こりを感じやすいのが特徴です。普段から食事量が少ない方、過度なダイエットをしている方、やせ型で筋肉量の少ない方などは体を温める熱エネルギーが足りなくなり、この四肢末端型冷え症になりやすいと言われています。また、ストレスなどによる自律神経の乱れも、原因の一つとして考えられます。

【2】下半身型

腰から下の下半身が冷えるタイプで、加齢と運動不足が大きな原因です。30~40代の女性に多く、デスクワークが生活の中心の人に起こりやすいとされています。また、姿勢の悪さや骨盤のゆがみも、下半身への血流が滞ってしまう原因になります。座る時にいつも脚を組んでいると骨盤がゆがみ、下半身型冷え症の原因となるため、注意しましょう。

足は冷えているのに顔や上半身はほてってしまう、いわゆる「冷えのぼせ」の症状を起こしやすいのも下半身型冷え症の特徴です。お尻をはじめとした下半身の筋肉が硬直し、下半身の血行が悪くなってしまうことが原因です。

【3】全身型

季節を問わず、全身が冷えるタイプです。幅広い年齢層でみられ、慢性的なだるさを感じやすいのが特徴です。ストレスや生活習慣の悪化、食事量の不足による基礎代謝の低下が原因となって起こります。

【4】内臓型

手足は冷えませんが、お腹が冷えるタイプです。30代以降の女性に多くみられます。お腹や太もも、二の腕といった体の中心に近い箇所が冷えやすく、お腹の張りを感じたり、お腹を下したりすることが特徴です。ストレスなどにより自律神経(交感神経)の働きが低下することが原因の一つです。

2.冷え症に隠された病気


冷え症の中には、以下のような病気と関連している可能性があります。

・低血圧、貧血

・膠原病(全身性エリテマトーデスなど)

・代謝内分泌疾患(甲状腺機能低下症など)

・血管の疾患(閉塞性動脈硬化症、バージャー病など)

後ほど説明する対処法や生活習慣の改善を行っても症状が改善しない場合は、医療機関を受診してみることをお勧めします。

また、冷え症は漢方がよく奏効する症状です。漢方を勉強している薬局でアドバイスを受けるのも良いでしょう。

3.冷え症の対処法


運動をする

運動は血行の改善に最も効果的な方法です。

ウォーキングや軽いスクワットで下肢の筋肉をつかうことで、全身の血液循環が良くなり、冷え症の改善につながります。

また、血管の柔軟性を向上させるストレッチも効果的です。

湯舟につかる

シンプルな方法ですが、冷え症の改善に役立ちます。体を温めることにより全身の血液循環が良くなります。また水圧により末端に滞っていた血液が心臓に戻される、静水圧効果も得られます。

体を温める食事をとる

単に温かい食べ物を摂取するというのではなく、食材選びが重要です。

にんじんやごぼう、生姜など、地面の中で育つ根菜は体を温めると考えられています。また、味噌や醤油、自然塩などの調味料も体を温める働きがあるので、上手に使って味付けをしましょう。

冷え症対策に役立つレシピは数多く紹介され、漢方式の食養生4)も有効です。レシピは、以下を参考にしてみて下さい。

冷え症レシピ:https://bikenjump.com/recipe/detail003-7/

4.冷え症の予防法


日常生活のちょっとした工夫や生活習慣の改善により、冷え症を予防することができます。

空調の設定

冷房や暖房といった空調の使用頻度が高く、設定温度が不適切な場合、冷え症の原因になります。

空調の効かせすぎによって室内外の温度差が激しくなると、自律神経の機能が乱れ、体温調節がうまくできなくなり、冷え症を引き起こすことがあります。夏場の冷房の設定温度は25~27℃、冬場の暖房の設定温度は20~22℃が良いとされています。

衣服・靴の選び方

きつい下着やデニムなど、体を締め付けるものが多いと血液の流れを妨げることになり、冷え症の原因になります。また、素足にサンダルやパンプスといったファッションも足先の血流が滞る原因となるため、体を締め付けすぎずに保温効果のある衣服や靴を選びましょう。

バランスのとれた食生活

冷え症の改善には、栄養バランスを意識することはもちろん、熱を生み出しやすい体作りをするために、たんぱく質を積極的にとることが大切です。なかでも、鶏むね肉や卵、豆、豆製品などは、低脂肪・高たんぱく質の食材としておすすめです。

また、普段から食事量の少ない方や、極端な食事制限によるダイエットをしている方は、栄養バランスのとれた食事を十分な量、摂取しましょう。

運動

冷え症の対処法でも紹介した通り、運動の習慣をつけることにより血液循環を良くし、冷えにくい体を作ることが可能になります。また、食事と同様に、筋肉量を増やし、熱を生み出しやすい体づくりをすることも大切です。

5.まとめ


今回は、身近な問題である冷え症の原因と対策について紹介しました。冷え症は良くならないものだと諦めてしまうのではなく、対処法や予防法を実践し、寒い季節を乗り切りましょう!

【参考文献】

1)江崎グリコ株式会社 プレスリリース.20代〜60代の女性500人に聞く「冷え性」調査.
2)Aschoff J et.al, Naturwissenschaften 45. 477–485, 1958.
3)漢方が救う人体危機 渡辺武 立風書房
4)漢方健康料理 1巻 渡辺 武監修

【監修】正木清彦先生

薬剤師・漢方家

食養アドバイザー(日中医薬研究会認定) 

京都大学 薬学部 薬学科 卒業

製薬会社 勤務(東京)

医療法人(民間病院)理事(埼玉県)

野口医学研究所 顧問を経て、

現在 日中医薬研究所・マサキ薬局(埼玉県)代表を務める。