快眠のススメ

睡眠/休養

睡眠は人が健康的に生活するために、必要不可欠なものです。しかし新型コロナウィルスの感染拡大に伴い、コロナ鬱のような心理的ストレスで、不眠に陥っている人も少なくありません。頭や身体の疲れを回復させるだけではなく、心を安定させる機能を持つ睡眠についてクローズアップします。

1. 不眠

①5人に1人は不眠に悩んでいる?!


「なかなか寝つけない」「熟睡感がない」「夜中に何度も目が覚める」など、現代人の多くが眠りに関する悩みを抱えています。
厚生労働省の調査では、国民の5人に1人が「睡眠で休養が取れていない」「少なからず不眠状態だ」と感じているとの報告もあります※。
最近は、新型コロナウイルスによるストレスや経済的不安、さらには外出自粛による運動不足なども相まって、さらに不眠に悩む人が増える傾向にあります。

※厚生労働省 e-ヘルスネット
https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/heart/k-02-001.html


②不眠症とは?

不眠にはタイプがあり、寝つきが悪い「入眠障害」、眠りが浅く睡眠途中で何度も目が覚める「中途覚醒」、早朝に目が覚めてしまう「早朝覚醒」、ぐっすり眠れたという満足感が得られない「熟眠障害」という4つのタイプがあります。これらのトラブルによって、疲労感が残る、気力・集中力が低下する、食欲が減退するなど、昼間の日常生活に支障をきたす状態が続くことを「不眠症」といいます。睡眠障害に伴う体の不調を週に数回感じることが、1ヵ月以上続いていたら要注意です。


③不眠の原因

不眠の原因には次のようなものがあります。まずは自分の不眠の原因を見極め、適切に対処することが重要です。
 
●心理的な原因
 ストレスや心配事などで、夜になっても心身の緊張状態が続き、眠れなくなるケース。そして、日中のパフォーマンスが悪くなると、イライラしたり気分が落ち込んだりしてさらにストレスがたまる悪循環に陥ります。
 
●生理学的な原因
日勤・夜勤の交替制勤務や海外旅行による時差ボケなど、生活リズムの乱れによって不眠を招くケース。ゲームやSNSなどで夜更かしを続けている人も、昼夜のメリハリがなくなり、睡眠のリズムが大きく崩れます。
 
●身体的な原因
関節が痛い、皮膚がかゆい、頻尿でトイレが近い、咳、くしゃみが止まらないなど、体の症状が原因で眠りが妨げられるケース。いびきをかく、睡眠中に何度も呼吸が止まるなどの睡眠呼吸障害も、気付かないうちに不眠を招く要因となります。
 
●精神医学的な原因
 うつ病・総合失調症など、心の病気に伴って起こるケース。慢性的な不眠の3分の1は何かしらの精神的疾患を抱えているとも言われています。
 
●薬理学的な原因
 降圧剤や抗がん剤、自律神経系に作用する薬などの副作用として不眠が起こるケース。アルコール、カフェイン、ニコチンも睡眠に悪影響を及ぼします。


2. 睡眠の役割

①睡眠のメカニズム(レム/ノンレム睡眠)

睡眠には、体を休める浅い眠りの「レム睡眠」と、脳を休める深い眠りの「ノンレム睡眠」があります。眠りにつくとまずノンレム睡眠に入り、その後レム睡眠に移行します。就寝中はこのサイクルを約90分ごとに4~5回繰り返します。正常な睡眠は、眠り始めの3時間(2サイクル)はノンレム睡眠が長く訪れて眠りが深くなり、その後の2~3サイクルで徐々にレム睡眠が長くなっていき覚醒に向かう、というリズムを刻みます。



レム睡眠とノンレム睡眠にはそれぞれの役割があります。質の良い睡眠とは、双方が交互にリズムよく入れ替わること。これにより、朝スッキリと目覚めぐっすり眠れたという満足感が得られるだけでなく、心身の健康の維持をはかることができるのです。


 


 


②睡眠に関わる3つのホルモン

睡眠は心身をメンテナンスするための大切な時間です。そこで重要な働きを担っているのが、睡眠中に分泌される「成長ホルモン」「メラトニン」「コルチゾール」という3つのホルモンです。これらのホルモンが正常に分泌されることで、睡眠と覚醒のメリハリのある生体リズムを生み出し、自律神経のバランスを整えています。



●成長ホルモン
深い眠りのノンレム睡眠時に分泌されるホルモン。
もっとも眠りが深くなる眠り始めの3時間に分泌のピークを迎えます。成長ホルモンには、傷付いた全身の細胞を修復・再生したり、皮膚や骨などの新陳代謝を促したりする重要な役割があります。
 
●睡眠ホルモン「メラトニン」
メラトニンは、入眠を促すともに、睡眠中の眠りを持続しやすい環境をつくるホルモン。起床して15~16時間後から分泌が始まり、その数時間後に分泌のピークを迎えます。例えば午前7時に起床した場合、メラトニンの分泌量は午後11時頃に最大に達するので、この時に眠り始めるとスムーズに入眠できます。


●ストレスホルモン「コルチゾール」
コルチゾールは副腎皮質から分泌されるホルモンの一つ。メラトニンが出始めてから5~6時間後の明け方に分泌量が増え始め、体の覚醒を促して起床後のストレスに備えます。



メラトニンやコルチゾールは体内時計によってコントロールされています。


体内時計は、体内に備わった時間測定のことをいい、約24時間周期で体温やホルモン分泌など調整することで、昼間は活動し、夜になると眠くなるという1日のさまざまな生体リズムを作り出します。しかしホルモン分泌が乱れることで睡眠のサイクルがずれて、不眠を招きやすくなるのです。そこで効果的なのが、朝の太陽光です。毎日同じ時間に起きて朝日を浴びれば、体内時計のずれが適宜調整され、それぞれのホルモンが効率よく働くようになります。


3. 快眠への道

①寝る前のストレス解消

睡眠は自律神経の働きにも大きく左右されます。自律神経とは、血管や内臓の働きを司り、生命維持に必要な体の調整を自動的に行っている神経のことを言います。活動している時に働く「交感神経」とリラックスしている時に働く「副交感神経」があり、通常だと夜は副交感神経が優位に働いて心身が休息モードに入ります。しかし、ストレスがあると交感神経の興奮が続いて、副交感神経への切り替えができなくなってしまいます。したがって、眠りにつく前にその日受けたストレスを取り除き、心身をリラックスさせることが快眠を得るコツとなります。


おすすめのストレス解消法



●音楽
心地よい音楽にはストレスなどで高ぶった神経を鎮める作用があり、脳がリラックスできるので安眠につながります。ただし、寝る前の音楽は、イヤフォン、ヘッドフォンは使わず、小さめの音量で聴くようにしましょう。また、寝入った後は音が切れるようにスリープ機能を使うことも大切です。



●アロマ
心身をリラックスさせるのにオススメです。いい香りを嗅ぐと、その刺激が自律神経の中枢である脳の視床下部に直接届き、自律神経のバランスが整います。ディフューザーなどがなくても、アロマオイルをコットンやティッシュにしみこませて枕元に置くことで、手軽に始めることができます。最もリラックスできると感じる自分好みの香りを探してください


●入浴
私たちの体は、深部体温(体の内部の体温)が下がる時に眠気を感じると言われています。布団に入る1時間前に入浴し、しっかりと体を温めましょう。暑い夏でも快眠のためには38~40℃のぬるめのお湯に10~20分くらい浸かるのが理想的です。ぬるめの湯につかることで、副交感神経が優位になり心身がリラックスするので、より快眠につながりやすくなります。


●ヘッドマッサージ
パソコンやスマートフォンを長時間操作していると、目や頭が疲れ、頭皮がカチカチに凝ってきます。また、仕事や人間関係のストレスが原因で頭皮が凝ることもあります。頭皮のこりは脳の緊張を招いて質の良い眠りの妨げになるので、寝る前のヘッドマッサージでこりを解消しましょう。


<おすすめのマッサージ法>親指以外の4本の指の腹を使って、小さな円を描くように軽く押します。
次の順で、頭皮をまんべんなくマッサージしましょう。


A 前頭部(髪の生え際から頭頂部に向かって)
 ↓
B 側頭部(耳の上から頭頂部に向かって)
 ↓
C 後頭部(首のつけ根から頭頂部に向かって)


 


 


また、最後に頭のてっぺんにある「百会(ひゃくえ)」というツボを中指2本で指圧すると、自律神経を整えてストレスを解消するのに役立ちます。


②眠りの環境を整える

質の良い眠りを得るためには、寝室・寝具を見直し、睡眠のための環境を整えることが大切です。


●パジャマを着る
パジャマは吸湿性、保温性に優れた素材で、胸元やウエストなどがゆとりをもって作られているので、寝ている時の締めつけ感がありません。また、部屋着からパジャマへ着替えることで、心身を休息モードに切り替えることができ、よりリラックスして眠りにつくことができるでしょう。


●寝具を見直す
自然な寝姿勢で体にストレスを与えないことが大切です。朝起きて体が痛い、肩が凝るなどの症状がある場合は、枕の高さやマットレスの硬さなど、今一度見直してみるといいでしょう。


●部屋の明かりを暗くする
蛍光灯のような白く明るい光はメラトニンの分泌を抑制してしまいます。暖色系でやや暗めの明かりに切り替えるのが効果的です。眠るときは、気にならない程度の小さな間接照明だけを使い、部屋をできるだけ暗くしましょう。


【パソコン・スマートフォンの使用も就寝1時間前までが鉄則】
パソコンやスマートフォンの画面から発せられる光(ブルーライト)はとても強く、メラトニンの分泌を妨げる要因となります。脳が興奮してリラックスできなくなるので就寝前の使用はなるべく控えましょう。


●室内の温度・湿度を調整する
室温や湿度が高すぎたり、低すぎたりすると体温調節がうまくいかず深部体温がスムーズに下がらなくなるため、寝つきが悪くなります。エアコンや扇風機を上手に活用して、心地よいと感じられる環境を整えましょう。


③快眠につながる食事方法

きちんと朝食をとり、朝日を浴びて体内時計をリセットすることで睡眠と覚醒のリズムが整います。
オススメは、大豆製品や乳製品など、メラトニンの材料となるトリプトファンを多く含む食べ物をとること。ご飯・味噌汁・納豆・焼き魚などの昔ながらの朝の和定食は、夜の眠りを誘う効果があります。
また、夕食は寝る3時間前までに済ませましょう。寝る直前に食べると、胃腸の消化活動で深部体温が下がりにくくなり、睡眠の質が低下してしまいます。寝る直前のアルコールやカフェインも覚醒作用が強く、睡眠が浅くなるため控えた方がいいでしょう。



 


4. 最新快眠グッズ


快眠を促す最新グッズをご紹介します。
ぜひチェックしてみてください。


 


 


 



かぶって眠るまくらIGLOO(イグルー)


快適に眠るうえで必要な3要素「静音」「遮光」「適度な閉鎖感」を考慮したドーム型のデザイン。かぶって寝ることで顔周りを覆われ、適度な閉塞感の、静かで強い光を遮った環境で、落ち着いて寝ることができます。生活音や気になる光をシャットアウトして理想の睡眠環境を実現します。
https://mydream.co.jp/commodity/485


iSleep3D EYE MASK


遮光性と開放感を実現している立体デザインのアイマスク。目元部分をドーム状の立体構造にすることにより、アイマスクとまぶたとの間に空間ができ、装着したままでも瞬きができるほどの開放感を得ることが可能なおしゃれなアイマスクです。
https://isleep.jp/



 


 


 


 


おやすみまくらミスト ULA-01


枕などの寝具に吹きかける天然アロマスプレーです。睡眠に良いとされる4種類のエッセンシャルオイル(精油)をセレクト。ふんわりと包む心地よい香りはリラックス効果をもたらし、快眠への手助けをしてくれます。さらに消臭・抗菌・除菌成分が配合されており、アロマスプレーとしてだけでなく除菌スプレーとして使用もできます。
https://shf.co.jp/item/ULA-01/


AYO(アイオ)


目に優しいブルーライトを発生させることで、人が眠いと感じるホルモン「メラトニン」の分泌を調整し、体内時計を正常に戻してくれるメガネ型デバイスです。スマホの専用アプリをインストールし、3種類のモード(エナジー、スリープ、トラベル)から選択。このデバイスを装着してアプリを操作するとプログラムが始まり、1日最短20分かけるだけで体内リズムを調整することができます。夜寝付きが悪いという人は、入眠に役立つアイテムです。
http://goayo.jp/