巣ごもり生活で弱った肝機能を助けるクルクミンの秘密

生活習慣 監修 日本消化器病学会専門医、日本肝臓学会肝臓専門医 染谷 貴志先生

新型コロナウイルスの影響により、自宅で過ごす「巣ごもり」生活が長引き、以前より体を動かすことが少なくなった方も多いのではないでしょうか。動かなくなると、筋肉だけでなく肝臓をはじめとする内臓の機能も全体的に弱ってしまいます。また、心当たりがないのに「肝機能の数値が悪い」という健康診断の結果に驚く人がいますが、肝臓は「沈黙の臓器」とも呼ばれ、胃や腸と違って痛みを感じることがないため、悪くなっていても気づかない人が多いのが特徴です。そんな肝臓について、All About「消化器・肝臓の病気」ガイドである染谷貴志先生が答えます。

肝機能について教えて!

「肝心(肝腎)」という漢字に使われるように、肝臓は健康を維持するためにとても大切な働きをしています。

肝臓の役割


内臓の中では最も大きく、1.2~1.5㎏ほどの重さがあります。肝臓には、主に3つの大事な役割があります。


①栄養素の分解・合成
代謝作用といわれるこの機能は、食事から摂取した栄養素を体内で利用しやすいように作り変えます。例えば、糖質はグリコーゲンという形で肝臓に蓄えられ、必要な時にエネルギー源のブドウ糖として血液中に放出されます。タンパク質のアルブミンや出血を止める凝固因子も肝臓で作られており、血液中に放出されています。これが肝臓の最も重要な役割です。

解毒
食べ物や飲み物の中に含まれる有害となる物質を、害のない状態にして体の外へ排出する役割があります。

消化
脂肪の分解を助ける「胆汁(たんじゅう)」と呼ばれる液体を作り、分泌します。また、血中のコレステロール値を調整する働きもあります。


肝機能が落ちやすい人はどんな人?

生活習慣が乱れている人は要注意です。

以下のリストで、当てはまるものにチェックを入れてみてください。


「肝機能障害」チェックリスト



□ お酒を毎日のように飲んでいる
□ 運動不足
□ 年々体重が増えている
□ 無理なダイエットをしている
□ 家族に肝臓病を患っている人がいる


※上のリストに当てはまる人は特に注意しましょう。


お酒の量が多いと肝臓に負担がかかるため、肝機能が低下し、さまざまな肝臓病の原因となります。肥満で血圧が高い方も注意が必要です。また、過度の食事制限など無理なダイエットをしている人も肝機能が落ちやすい傾向があります。さらに、遺伝による影響もあるため、家族に肝臓病を患っている人がいるかどうかも知っておいた方がいいかもしれません。


肝機能障害とは?

肝臓が何らかの異常によって正常に機能しなくなることを指します。

一般的に、血液中のAST(GOT)、ALT(GPT)が基準値を上回っている状態を「肝機能異常」と言います。AST、ALTとは、肝臓の細胞が壊れていると血液中に出てくる酵素のことで、血液検査によって知ることができます。肝機能異常の場合はこの数値が高くなるため、医療機関で詳しい検査を受ける必要があります。


基準値
AST:30U/L以下
ALT:30U/L以下


肝機能障害の主な症状は?

風邪に似た症状から、黄疸(おうだん)といった特有の症状までさまざまです。

肝機能障害の特徴的な症状は以下の通りです。


・疲れやすい、身体がだるい


肝機能が低下すると、全身に栄養がうまく補給されなくなります。それによって疲れやすくなったり、身体がだるくなったりすることがあります。



・食欲がない


急性肝炎では、食欲がなくなり、特に脂っこいものを受けつけなくなります。


・熱がでる


発熱やのどの痛み、頭痛といったいわゆる風邪の症状が現れます。


・足がむくむ、お腹がはる


足がむくんだり、お腹に水がたまって、はったように感じることがあります。


・皮膚や目が黄色くなる


黄疸(おうだん)と呼ばれる症状です。これにより、おしっこの色が濃くなったり、皮膚がかゆくなったりすることもあります。


肝機能障害の主な原因は?

ウイルス感染によるもの、アルコールや薬剤の服用によるもの、脂肪の摂りすぎなどさまざまな原因があります。

肝機能検査値が異常となる病気にはさまざまなものがあります。B型肝炎・C型肝炎などの「ウイルス性肝炎」や大量の飲酒によって肝臓が炎症を起こす「アルコール性肝炎」、肝臓内に脂肪がたまる「脂肪肝」などが代表的なものです。また検査値の異常を放置すると、気づかぬうちに「肝硬変」や「肝がん」など命にかかわる病気になる危険性があるので注意が必要です。


効果的な対処法は?

食事の見直しや運動によって、生活習慣を改善しましょう!

肝機能障害の原因によって治療法はさまざまですが、アルコールや食生活の乱れによる肝機能の低下は生活習慣を見直すことで改善が期待できます。糖や脂肪の過剰摂取を抑え、栄養のバランスが取れた食事と適度な運動を心がけ、肝臓へのストレスを軽減させることが必要です。
また、肝機能を高める栄養成分としてビタミンB群、オルニチン、クルクミンがあります。その中でも「クルクミン」はウコンに含まれる黄色の色素成分としても知られており、肝臓を元気にし、機能を高める効果が期待できます。また、クルクミンには、コレステロール値を下げるだけでなく、シワができにくくなり、美肌を保つ効果もあるといわれる成分として注目されています。このような有効成分は食品から摂ることが容易ではないため、サプリメントなどを活用するのもよいでしょう。
症状に気付きにくい「沈黙の臓器」ではあるものの、健康を維持するのに大切な働きをする肝臓。体のちょっとした変化も見逃さないように、日頃から意識するようにしましょう。


今回相談にのってくれた先生

日本消化器病学会専門医、日本肝臓学会肝臓専門医 染谷 貴志先生

日本消化器病学会専門医、日本肝臓学会肝臓専門医。1995年、東京慈恵会医科大学卒業。
1995年~2006年虎の門病院勤務を経て、2006年4月にそめや内科クリニックを開業。

https://allabout.co.jp/gm/gp/72/