今シーズンはどうなる!?インフルエンザ2020-2021 特徴と予防策を学ぼう

免疫 監修  高山 研一先生

毎年12月に入ると、インフルエンザ流行のニュースを毎日のように耳にします。新型コロナウィルスの流行により、改めて注目されるようになったインフルエンザについて学んでいきましょう。

1.インフルエンザとは

インフルエンザとは、インフルエンザウイルスが原因で起こる感染症です。インフルエンザの流行は、例年11月下旬から12月上旬にかけて始まり、1月下旬から2月上旬にピークを迎え、3月頃まで続きます。このように、通常冬の間に流行するインフルエンザを「季節性インフルエンザ」、これに対し、毎年発生するものではなく、動物同士で感染していたインフルエンザウイルスの遺伝子が変異し、ヒトに感染するようになったものを「新型インフルエンザ」と呼びます。新型インフルエンザは、人が新型インフルエンザウイルスに対する免疫を持たない状態で感染が拡大する為、世界的な流行になることが特徴です。


2.インフルエンザの種類と症状

インフルエンザウイルスは、A型B型C型に分けられます。感染力が強い型はA型とB型ですが、ウイルスの型の違いにより現れる症状も異なり、個人差があります。


インフルエンザの種類 


・A型 ウイルス感染後、1~3日の潜伏期間を経て38℃を超える高熱やのどの痛み、関節痛、筋肉痛といった強烈な症状が出やすい型です。ウイルスが次々に型を変え、今までに獲得した免疫が機能しにくいのが特徴。肺炎や脳炎といった合併症を引き起こすこともあるので、注意が必要です。


・B型 A型と同様に1~3日の潜伏期間を経て高熱が出ます。下痢やお腹の痛みを訴える人が多いのも特徴です。


・C型 子供がかかるインフルエンザウイルスで、ほとんどの大人が免疫を持っています。症状は軽症で、風邪と診断されることも多いです。


3.インフルエンザと風邪の違い

インフルエンザと風邪はウイルスに感染することによって症状が現れますが、似ているようでウイルスの種類が異なる別の病気です。症状や発症の仕方が大きく異なるので、詳しくは、下の表を参考にしてください。


インフルエンザと風邪の違い

































  インフルエンザ 風邪
症状 高熱、頭痛、関節痛、筋肉痛、咳、のどの痛み、鼻水など のどの痛み、鼻水、鼻づまり、くしゃみ、咳、発熱
発症 急激 比較的ゆっくり
部位 強い倦怠感など全身症状 鼻、のどなど局所的
感染経路 飛沫感染、接触感染 主に接触感染

 


2019-2020年シーズンのインフルエンザ感染者数は例年と比べ、非常に少ない数になっています。これは新型コロナウィルスに対する感染予防意識の高まりが影響したと考えられています。


 



図1.インフルエンザの感染者数(過去3シーズンの比較)




4.インフルエンザの予防

①予防接種


インフルエンザの予防法として現在医学的に推奨されている予防法は、ワクチン投与による予防接種です。


ワクチンとは、ウイルスや細菌等、病原菌を処理して作った薬剤のことです。ワクチン接種は、免疫の働きによって、体に侵入した病原菌の増殖を抑えます。その結果、病原菌に感染しても感染症の発病を抑えたり、症状を軽くする効果があります。


インフルエンザワクチンには、A型2種類およびB型1種類が含まれており、毎年世界保健機関(WHO)により流行する型が予想され、ワクチンが作られます。2020-2021シーズンは新型コロナウィルスと同時に流行することが懸念されており、重症化する危険性の高い人に対しては、ワクチンの接種が推奨されています※。
インフルエンザワクチンを接種した場合、有効期間は約5カ月と言われています。そのため、流行シーズンである12月から3月に効果を発揮するためには、遅くても12月上旬にはインフルエンザワクチンを接種しておくことがおすすめです。


※注意:インフルエンザワクチンの副反応として、接種部位の腫脹や発赤、発熱や倦怠感などが10~20%の割合で起こりますが2、3日で消失すると言われています。また、重篤な卵アレルギーのある方は接種前に医療機関にご相談ください。


◆ 重症化する危険性の高い人
・5歳未満の子供
・65歳以上の高齢者
・妊娠中、または産後の方
・肥満の方
・介護施設に入所中の方
・持病に糖尿病や呼吸器疾患、心臓病を持っている方


インフルエンザワクチンは多くの内科、小児科の病院やクリニックで接種可能です。混雑を避けるためにも、事前に予約を行いましょう。


②感染対策


◆ こまめな手洗い
手洗いは感染症対策の基本です。流水・石鹸による手洗いは手指などカラダについたインフルエンザウイルスを物理的に除去するのに有効であり、アルコール製剤の使用も効果があります。


◆ 保湿
空気が乾燥すると、気道粘膜の防御機能が低下し、インフルエンザにかかりやすくなります。特に乾燥しやすい室内では、加湿器などを使って適切な湿度(50~60%)を保つことも効果的です。


③ 免疫力の向上


免疫力を高めることにより、インフルエンザの重症化を防ぐことができると言われています。十分な休養とバランスのとれた食事を心がけましょう。また、ビタミン剤等のサプリメントもおすすめです。


5.インフルエンザの対処法

高熱によりインフルエンザが疑われる場合は、市販の薬では効果はみられないため、すぐに病院で受診しましょう。発症後48時間以内であれば抗インフルエンザ薬(タミフルやリレンザ等)の効果が期待できます。ただし、発症後すぐに受診しても検査で陽性が出ない場合がありますので、6時間以上経過した時点で受診する事をお勧めします。


一般的な検査は「インフルエンザ迅速検査キット」によるもので、鼻やのどの奥を綿棒で少しなぞるだけで検査が可能です。また、インフルエンザウイルスと新型コロナウィルスを同時に検査できるキットも厚生労働省から承認を得ており、同時流行に備えられています。


6.まとめ

冬場に流行が予想されるインフルエンザですが、その特徴を知り、備えることが重要です。感染症対策の意識を高く持ち、免疫力を高めることにより予防に努めましょう!


【参考文献】


・国立感染症研究所 今冬のインフルエンザについて(2019/20シーズン)
https://www.niid.go.jp/niid/images/idsc/disease/influ/fludoco1920.pdf


・厚生労働省 中央社会保険医療協議会総会(第463回)議事次第
https://www.mhlw.go.jp/content/12404000/000651235.pdf


 


今回相談にのってくれた先生

 高山 研一先生

2002年、東海大学医学部医学科卒。
2005年、水道橋クリニックを開設。
2019年~生協戸塚病院に勤務。